Road to the Future

Road to the Future

令和3年1月14日

社員の皆様へ

1. 序

昨年は,コロナ禍,堤社長の退任,通期決算の大幅赤字計上と,当社にとって試練の年になりました。そこで,昨年12月の取締役会でアクロディアに「経営改革会議」を設置することを決定し,経営に長けた大会社の代表取締役経験者などの有識者を外部から委員として招聘し,この苦境を脱するための経営改革を行っていくことになりました。

本日の集まりは,経営改革会議が考える当社の将来ビジョンを社員の皆様と共有し,当社の新たな発展のためのスタートの会としたいと思います。「この会社にいて良かった」と思える会社にするにはどうしたら良いか,共に考えたいと思います。

「株式会社」という制度は,法的に言えば,営利を追求する団体に他なりません。営利を追求することによって初めて社会的存在として成り立ち,雇用を創造し,顧客や取引先に満足を与え,社会的貢献をする団体であると考えられています。

しかし,経営改革会議としては,法的な意味合いよりも,当社にとって最も大切な価値は,「信頼」と「高潔性」であると考えています。会社の存在価値は,法的な意味での「営利追求」というだけではなく,「社会的存在」としていかに「信頼」を獲得し「高潔性」を保つかという点にあると考えます。特に「社員からの信頼」を得るに足る会社にアクロディアを改革していく必要があると考えています。

なお,本日はコロナ禍の中での開催となりますので,時間は45分程度とし,質疑応答は後日社内メールで個別に行うことにします。今後,経営改革の実をあげるため,会長,社長で社員の皆様にヒアリングをお願いすることとなりますが,よろしくお願い申し上げます。

2. 当社の将来ビジョンと理念

当社のこれまでの理念は,アクロ(最高)+イデア(発想)=「最高の発想」でした。良いアイデアは必要です。しかし,ともすると「良いアイデア」を生み出すことだけに囚われ,収益や会社の存在価値についての配慮が足りていなかったのではないでしょうか。あるいは,収益や会社の存在価値は,経営陣だけが考えていて,社員の皆様と共有できていなかったのではないでしょうか。収益は,粗利だけでなく,販管費を差し引いた結果,「会社にいかにキャッシュフローが残るか」を中心に考えるべきです。

標語的に言えば,「入金を量り出金を為す」です。

社員全体でキャッシュフローを生み出す会社にして行く必要があると考えています。そこで,経営改革会議では以下の10項目のビジョンを社員の皆様と共有して行きたいと考えています。

I. 理念
II. 価値観
III. ビジネスモデル
IV. ビジョン
V. 戦略
VI. マーケティング
VII. マネジメント
VIII. KPI
IX. ガバナンス
X. 21世紀型経営

Ⅰ 理念(世のため人のためにベストを尽くす)

当社のこれまでの理念は,「最高の発想(アクロ+イデア)」でした。しかし,会社の理念は,会社が社会的存在である以上,単一の視点だけでの理念では足りないと考えています。会社が成り立つために必要なことは,「人+プロダクツ+資本+顧客」です。特に,人,プロダクツ,顧客が大切です。そこで,当社の新しい理念を次のものに改めます。

1. 高付加価値なソリューション・製品を生み出す「価値の創造」を重視する。

2. 満足感をあたえるソリューション・製品により「顧客を創造」する。

3. 各人が精鋭となり,「人材を創成」する。当社のような少人数の会社では,各人が精鋭となり,「人材を創成」することが必要です。ジョブ型雇用の創造です。会社の継続性の観点から後輩の創成も大事です。

4. IT化の戦略により,IoTなどの技術により「生活文化の創造」を目指す。サスティナブル社会の創造に貢献する。このためには,会社は絶えず発展しなければなりません。

Ⅱ 価値観

会社はなによりもまず「人の集団」でありますから,会社としての価値観を会社に属する人々皆で共有することが必要です。経営改革会議は,以下の価値観が大事であると考えています。

1. 信頼
会社は内外で「信頼」という言葉を大事にする必要があります。顧客からの信頼は当然として,社内でも「うちの幹部は自分のことしか考えてない」「社員は給与に見合った働きをしていない」というような疑心暗鬼の状態では,人の集団として力を発揮することはできません。各人がベストを尽くしている状態であれば,自ずと信頼が生まれてきます。

2. 知恵
競争社会を生き残り,同業他社との差別化を図るためには,「知恵」が必要です。常に当社の利益を考えていく知恵を備えた姿勢が必要です。

3. 情熱
会社が生き生きとした活動をするためには,新しいプロダクツ,ソリューションを開発してやろうといった「情熱」を各人が持つことが必要です。

4. 意志
人間は望んだ者以外にはなりません。希望を持ち,「意志」の力で実現していく人生を送りたいものです。

5. 高潔
人の集団であるからには「高潔」でありたいものです。社会に貢献するなかで,自己を実現していくためには,高邁で高潔な精神が必要です。英語で言うならば,”With Sprit”という言葉が適切です。

Ⅲ ビジネスモデル

会社には,普遍的な「ビジネスモデル」が必要です。

1. 長期視点
会社活動には長期的視点が必要です。現時点で収益のある事業も将来的にはどうなるのか,常に考えて次の布石を打つことが必要です。

2. 安定
安定的収益を目指すべきです。雇用の安定ということも含まれます。

3. 収益
キャッシュフローを重視すべきことは既に述べましたが,さらに詳述します。収益について,短期的な現象面でみると,今回の改革の狙い(コンセプト)すなわち「何のために改革をするか」という差しあたっての目的は,アクロディアのコロナ禍における経営悪化(赤字)を解消し,本来の会社の存在価値を取り戻すことです。そのためには,安定的収益を継続的に確保する必要があります。

i. 収益をあげるためには,まず生産性を向上しなければなりません。当社は各部門がそれぞれ独立した事業を行っていますが,生産性が極度に悪い部署があります。生産性が悪い部署をどうしたら良いのか,社員の皆様の意見を幅広く聞きたいと思います。当社は,昨年からテレワークを実施していますが,生産性の向上のためには,テレワークにおける「作業の見える化」をどのように実現するのかに早急に取り組む必要があります。本社執務スペースは限られたスペースとなりましたが,改装により,各自のパソコンを持ち込み,自由に執務できる環境としました。社長室は廃止しました。経営改革会議としては,業績を改善し,本社ビルを取得し,執務環境をファッション性のあるスペースにしたいとの希望を有しています。また,生産性の向上のためには,テレワークによる各自の業務課題の管理システムの一新も必要であると思います。

ii. 収益を上げるためには,「会社としての価値を創造」することが必要です。当社はIT会社ですが,IT会社の核心である「自社技術力」を確保することが必要だと思います。これまでは,IT会社と言いながら,ともすると商社的な会社だったのではないでしょうか。核心のソフトウエアや技術は,下請け業者が開発し,下請け業者との協業なしに会社活動ができない状況でした。今後は,下請け業者は,部分的な下請作業を担当して貰い,自社の技術者が自社で運営を行うことが必要です。このための改善計画をどのように策定するのか,社員の皆様の意見を伺いたいと思います。核心的なソフトウエアのソースコードなどの「無体財産権」の管理強化も重要です。

iii. 収益を上げるためには,「高いリターン」が必要です。リターンがないのに,開発経費をかけすぎたり,アイデアだけで開発に取り組んだりすることは厳に慎まなければなりません。しっかりとした市場調査に基づく事業計画を策定し,高いリターンが見込める案件に取り組むべきです。高いリターンは会社の活気を生み,社員の皆様のIT分野での課題クリアという知的好奇心も満たすことになると思います。

これらの3要素は,掛け算で考えないとなりません。ひとつでもゼロになれば,全体がゼロにしかならないのです。

Ⅳ ビジョン

会社が発展するためには「ビジョン」が必要です。今回を機に,アクロディアのビジョンとして,「ありたい姿」を”Why How Do Co.”とし,会社の標語としたいと思います。会社がどんな風になりたいか。社員の皆様がどんな風に働きたいか,これを常に考える会社となりたいと思います。

1. Why=「目的」
どんな場合でも「目的を持った行為」を指向しましょう。安定的収益を目指し,どのような行為をするか,各人が目的を持って行動することが必要です。

2. How=「戦略」
行動には戦略が必要です。取引を成功させるため,高い収益を確保するためにはどのような戦略が必要か,常に原価管理をして,利益を追求しましょう。

3. Do=「実行」(with sprit:精神的実行/capability:実行能力)。
目的と戦略が決まれば,精神的な合理性のある実行あるのみです。

4. Co.=「Company」
アクロディアはこれから「目的と戦略と実行」を備えた会社に生まれ変わらなければなりません。経営改革会議はこのような意味で,これからアクロディアの標語を”Why How Do Co.”にしたいと思います。

Ⅴ 戦略=成功への物語

当社の戦略は,次の通りとします。

1. 現状の体制では「規模」を追わず,「収益」を志向(思考)すべきです。

2. ニッチに特化し,アドバンテージ(強み/エッジ)を磨くことを意識しましょう。独自性,真似のできないものを創造することが重要です。ブロックチェーン技術などの最先端の技術を避けるべきではありません。

3. 中規模の強みを活かし,スピードとフレキシビリティな対応に軸足を置くべきです。

4. 成功への物語として,会社の強みを作りましょう。Valuable,Rareable,Inimitableなプロダクツとサービスと機能的組織(Organization)を作りましょう。当社の特質を活かしたキャッシュフロー経営を意識し,成功への道筋を社員全員で共有したいと思います。

Ⅵ マーケティング=売る仕組み

当社にはマーケティングとブランディング(特にイメージ)が欠けていたように思います。アクロディアと言えば,「何々」という社のカラーがない。スマートフォン周りのソリューションという漠然とした社のカラーがあるようにも言えますが,万人が認めるものではありません。今後は,マーケティングとブランディング(特にイメージ)の2つが合わさってこそ,売れる仕組みが出来るということを強く意識したいと思います。

1. サービス
そのためにはサービスが大事です。事前,最中,事後のサービスを系統だって構築しましょう。
・Before service
・In service
・After service

2. ブランディング
・アウター:ブランド発信。社外にブランドを発信できる会社をめざしましよう。
・インナー:コンセプトの共有。社内で当社らしいソリューション,製品,サービスを提供する姿勢を共有しましょう。

3. 宣伝=ターゲットに合わせて媒体を選択
これまで当社は宣伝をしてきませんでした。しかし,ネットの時代,当社を検索したとき,TwitterやInstagramその他のSNSなどの発信のある会社かどうかは,会社への評価に繋がります。社員が参加し,各部署で週に一回はTwitter記事,Instagram記事を作成し掲載するなどのアイデアがあります。ネット時代に対応したいと思います。

Ⅶ マネジメント=組織の運営=会社ポテンシャルの最大化

会社の経営陣のための指標ですが,是非,社員の皆様も共有して下さい。経営陣には以下の4つの指標を見極める資質,能力が求められています。

1. 人材=ファカルティ
「会社は人なり」という標語がありますが,なによりも人材を重視する経営を行いたいと思います。

2. 設備・環境=ファシリティ
会社の発展には設備面,環境面の充実が不可欠です。当社は現在苦境にあり,設備・環境が十分と言えませんので,改善していくことが必要です。

3. 資金=ファンド
資金の確保は経営陣の課題です。会長,社長ともに全力で資金を確保する所存です。

4. 先進性=ファッション
会社には先進性が求められます(会社はカッコよくないといけない)。特に当社はIT会社ですので,社員の皆様と格好良く,おしゃれに日常を過ごしたいです。

Ⅷ KPI(パフォーマンス)=高いリターンを得る指標

当社は上場会社ですので,経営結果の数字は公開されています。会社全体で,常に数字を意識することが必要です。各部署はKPI(Key Performance Index)を常に把握し,数字的に事業を把握することが必要です。

1. ROS(営業利益率)
ROS(営業利益率)は,経営陣と各社員が常に意識できる公開された数字で,最重要な指標です。営業利益が出ていなければ,直ちに改善する必要があります。ここで,当社にとって重要な事柄は「値上げと値切り」です。当社ではコストカットをかなり実行して来ました。この先,さらに手をつけるとすれば社員の給与ということになります。しかし,その前に,取引の相手方に値上げを交渉して見ましょう。下請けには値切り交渉です。これが出来なければ,社内でのコストカットしか残りません。売上げを上昇させれば良いとの考えもありますが,増収とコストの問題は同時に考えるべきであり,売上げ上昇だけを考えることできません。

2. ROE(自己資本利益率)
安定的経営の指標です。

3. 高いリターン
高いリターンを得るには,
i. よいアイデア
「不都合」「不平」「不満」「不便」の「不」がアイデアの土壌
ii. 高品質
iii. 高イメージ
iv. 高シェア(市場占有率)
v. 高い信頼
という5要素が必要です。

Ⅸ ガバナンス=ステークホルダー価値の最大化

会社の経営状態を把握する指標として,SDGs,ESGなどがありますが,結局は会社の利害関係人(ステークホルダー)の価値を最大化させる手段としての指標です。ステークホルダーの価値を次の順位で考える経営をしたいと思います。

1. 顧客
第1順位は「顧客」です。マーケケットの主役は顧客だからです。

2. 社員
第2順位は「社員」の皆様です。会社の主役は「社員」なのです。人の集まりたる所以です。雇用の創造は大事な役割です。反面,価値の最大化に反する人は,集まる意味がないことになります。

3. 取引先
第3順位は「取引先」です。当社を支える取引先も重要です。銀行も大事な取引先です。ただし,前述のように会社の核心的技術,営業,運営は当社自身で行うべきです。

4. 株主
株主を第一順位にあげる説も有力ですが,当社はそのような説は採用しないこととします。特に当社は,上場してから歳月が経過しており,資金調達に貢献する株主と単に市場で不労所得を狙う株主とは分けて考える必要がある段階にあることを意識すべきです。当社は上場会社ですから市場は大切です。しかし,市場だけを重視することは避けるべきです。

5. 社会
会社が社会的存在であることと,社会の主役は「会社」です。会社あっての社会というプライドを持つことが重要です。会社は社会の公器なのです。当社で働いていて良かったと思える会社に,全員で努力して改善しましょう。

Ⅹ 21世紀的経営

経営改革会議は,当社を21世紀的経営により改革したいと思います。そのための座標として,次の各点を考えたいと思います。

1. 経営視点
i. 顧客視点。前述のとおりです。
ii. 独自性視点。前述のとおりです。
iii. 長期的視点。前述のとおりです。
iv. 世界視点。もうひとつ,世界的視点を持つことが必要です。地球規模でIT社会はどう変化するのかというような俯瞰的視点です。

2. 経営マター
経営マターとして,下記の点に注意を払うべきです。
i. クライシスマネジメント
危機管理が出来る経営でなければなりません。
ii. コンプライアンス
法令遵守は言うまでもありません。昨今は,コンプライアンス欠如は会社の存続に関わります。幸い当社はコンプライアンス重視の経営を続けています。
iii. CSR=SDGs
会社の社会的責任を意識し,地球環境を意識した経営が求められる時代となっています。持続的開発目標などと言われます。
iv. ガバナンス
会社統治の適法,適法化。
v. ビジネスリターン
全ての結果責任。会社を構成する経営陣及び社員に全て言えることですが,会社は全て結果責任であるということです。結果が出なければ,会社は終焉を迎えるという厳しい現実があります。世の常として,必死に行動しなければ,結果はついて来ないものなのです。

以上,経営改革会議として,当社の未来のために,社員の皆様と共有すべき点を取り纏めてみました。