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SDGsへの取り組みはなぜ必要か?企業の例から学ぶSDGs

2024.04.10

SDGsという言葉はだいぶ浸透してきましたが、その内容について深く理解できているかというと、自信がない人が多いのではないでしょうか?興味はあるけれど、実際どうやって取り組めばいいのか分からないという人も多いと思います。

SDGsは環境問題だけでなく、貧困をなくす、ジェンダー平等を実現するなど17の目標が設定されています。さらに細かい指標がありますので、その内容を知るためには具体的な取り組みを見ていくのがわかりやすいと思います。

そこで、日本の企業がどのような取り組みをしているのかを見ていきます。これから会社として取り組みたいと思っている人にも、参考になるはずです。

あわせて、身近なところでSDGsを知ることができる取り組み、面白い取り組みをしている企業をご紹介します。

日本の企業はどのようにSDGsに取り組んでいるのか

SDGsは、2030年までに目標を達成すべきとされています。環境を破壊することなく、持続可能な世界を目指す目標が設定されていますが、個人で達成できるようなものばかりではありません。

貧困をなくし、誰もが平等に、平和に生きていける環境を作るには、各国の企業の協力が不可欠です。

では、日本の企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。その現状をまとめました。

50%以上の企業がSDGsへの取り組みに積極的

帝国データバンクが行った「SDGsに関する企業の意識調査(2022年)」によりますと、その意味や重要性を理解し、取り組んでいる、もしくは取り組みたいと思っていると答えた企業が52.2%でした。半数を超える企業が取り組みに積極的なことが分かります。

この数は、前回調査(2021年6月)よりも12.5ポイントも増えており、企業の取り組みも年々活発になってきています。

「“やらなければいけない”という義務感よりも、小さなことでも取り組むことによって将来社会に明るい展望を地域にもたらすことができ、それが自社の存続にもつながると考えている」(印刷、富山県)
引用元:SDGsに関する企業の意識調査(2022年) | TDB景気動向オンライン

SDGsは、企業として積極的に取り組まなければならない問題であると捉えている人が増えていくことでより良い社会を作っていけるなら、こんなに素晴らしいことはありません。

大企業と中小企業の間にはまだ格差がある

積極的に取り組んでいる企業の割合は、全体としては5割を超えたものの、企業の規模で見るとまだ大きな差があります。

SDGsに関する企業の意識調査の画像

大企業は7割近くになりますが、中小企業では48.9%と半数に届いていません。関心はあるものの、実際にはまだ取り組みを始めていないという企業が多くなっています。

大企業ですと資金も人材も豊富で、比較的取り組みやすい環境にありますが、中小企業にはその余裕がありません。

「零細企業における具体的な取り組み目標が思いつかない」(セメント卸売、高知県)
引用元:SDGsに関する企業の意識調査(2022年) | TDB景気動向オンライン

という声に見られるように、自社で何ができるのかまだ見出せていない企業が多いだけかもしれません。

ここは積極的に、SDGsへの取り組みに補助金を出すなど政府の支援が必要だと考えられます。

働きがいのある会社から経済成長を作る

SDGsというと環境問題だと捉える人が多いですが、冒頭でもお話しした通り、ジェンダー平等、平和と公正などこれから社会が持続的に継続していくための目標は多岐にわたります。

帝国データバンクの調査では、企業が力を入れいてると答えた目標のうち、最も数が多かったのは目標8「働きがいも経済成長も」でした。

会社での仕事に働きがい、やりがいを感じ人間らしい仕事をしていければ、生産性が高まり、ひいては社会全体の利益につながります。

会社がいきなり環境問題、エネルギー問題、貧困問題などに取り組むのは難しいかもしれません。しかし「働きがい」ならばすぐに自社でも取り組める問題ですから、企業の規模に関係なく取り組んでほしい目標です。

働きやすい会社になれば「ホワイト企業」であるというイメージにもつながるでしょう。

日本経済団体連合会(経団連)もSDGsへの企業の取り組みを後押し

経団連の定める「企業行動憲章」は企業が守るべき倫理規定であり、1991年に制定されました。

折に触れて改訂されてきたものですが、2017年、7年ぶりに改訂された同憲章にはSDGsが盛り込まれることになりました。

【タイトルの変更】

  • 改訂前:企業行動憲章―社会の信頼と共感を得るために―
  • 改定後:企業行動憲章―持続可能な社会の実現のために―

このようにSDGsを全面に押し出した内容となっており、企業がどのような貢献をすべきか、具体的な目標が掲げられています。

日本経済団体連合会のSDGsへの企業の取組の画像

画像引用元:Society 5.0 for SDGs

取り組みを各企業にゆだねることなく、経済界全体で盛り上げていこうという動きが活発化するきっかけとなりました。

今や、企業としてSDGsに取り組むことは当然であるという流れになってきています。

企業がSDGsに取り組む目的やメリット

SDGsに取り組むのは社会全体のためになるだけでなく、個々の企業にとって大きなメリットがあります。

取り組む目的やメリットを知ることで、なぜ企業がSDGsに取り組むべきなのか、自社で何ができるのか?と悩んでいる人の参考にもなるでしょう。

新しいビジネスの可能性を見出せる

SDGsで掲げられている目標は、今世界中の国が直面している問題ばかりです。ですから、これらの目標に取り組むことによって、これまでの自社の事業の枠を超え、新しいジャンルへ挑戦ができるようになるでしょう。

売り上げという短期的な目標ではなく、どうすれば社会を良くすることができるのかを考えることによって、これまでになかった新しいものを生み出すことに成功している企業もあります。

問題解決のために自社だけではできないことがたくさんありますが、他業種と協力することによってどんどんビジネスチャンスが広がっていきます。

企業のブランディングにつながる

今や、消費者が商品やサービスを選ぶときでも、SDGsに積極的に取り組んでいるかどうかを基準としている人も増えてきています。

広島大学の研究によっても、一般消費者が企業の取り組みを評価する傾向があることがわかっています。

SDGsに積極的に取り組みを行う企業(各SDGsゴールに貢献し、その取り組みから収益を得ている)への支持率は65.2%で、SDGsに関する意識向上を促進することで、68-69.9%に上昇することが確認されました。〜中略〜本研究では、一般消費者が企業選択の際に、SDGsに積極的に取り組む企業を選好することが明らかになりました。
引用元:【研究成果】一般消費者は企業選択をする際に、企業のSDGsの取り組みを評価するか | 広島大学

SDGsに取り組んでいることで社会を良くし、なおかつ売り上げにつながるのなら、取り組まない理由はないでしょう。今やブランディング戦略の一つとしても、SDGsは欠かせないものとなっています。

優秀な人材の確保につながる

SDGsへの取り組みが企業のブランドイメージをアップさせることから、高い意識を持った優秀な人材が集まりやすくなります。

株式会社学情が2023年3月卒業予定の学生にアンケート調査を行った結果では、SDGsに取り組む企業に「好感が持てる」「どちらかといえば好感が持てる」と答えた人の割合が9割を超えています。

株式会社学情のプレスリリースのグラフ画像

17の目標のうち、「ジェンダーの平等」に取り組んでいる企業に好感が持てると答えた人が56.5%で最も多くなっています。

働きづらさや不平等を感じている女性は多いのではないでしょうか?実際、国税庁が発表している平均給与は男女で大きな差があります。

  • 全体の平均:461万円
  • 男性:561万円
  • 女性:280万円

女性は結婚・出産によって働き方を制限されることが多く、いまだに性別による差別を受けている人も少なくありません。

いうまでもなく、仕事の能力は性別に左右されるものではありません。このような不平等を是正することが、優秀な人材を確保することにもつながるでしょう。

SDGsの面白い取り組みをしている企業の例を紹介

SDGsというと何か壮大なものをイメージしがちですが、意外と身近にその例がありました。

トヨタのしょうどく大使

トヨタが作るのは車だけではありません。世界中の人が幸せに暮らせる社会、「幸せを量産する」取り組みに力を入れています。

そのひとつが、この「しょうどく大使」です。今ではスーパーや商業施設でよく見かけるこの足踏み式消毒スタンドは、コロナ禍によって車の生産ラインが停止されてしまった時、仲間から感染者を出さないという思いから、トヨタ社員によって自発的に作り出された製品です。

これまで培ってきたトヨタの技術を生かし、このスタンドを通して社会に貢献したいという思いが形になりました。

トヨタのしょうどく大使はここがすごい!

  • コロナ禍で従業員が自発的に開発
  • 今やあちこちで見かける当たり前の商品、大きな社会貢献となっている
  • 車椅子でも使用可能
  • 改良を重ね8,000円まで価格を下げることに成功
企業名・取り組み内容 トヨタ自動車株式会社・しょうどく大使
住所 愛知県豊田市トヨタ町1番地
電話番号 0565-28-2121
URL https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/#/comfortable/attempt/

りんごレザー

りんごの皮や搾りカスを使って使って作られたのが、この「りんごレザー」です。

2019年、長野のりんご園は甚大な台風の被害を受けました。日頃から輸入依存、フードロス問題をなんとかしたいと思っていた代表の伊藤氏は、食べられなくなったりんごを活用することはできないかと考えます。そこで生まれたのがりんごの搾りカスを利用して作ったレザーでした。環境にも優しく、汚れに強く軽くて扱いやすい植物由来のレザーが誕生したのです。

りんごレザーはここがすごい!

  • りんごの搾りかすを粉末化して作られたヴィーガンレザー
  • ゴミが出ない
  • 合成皮革に劣らない耐久性
  • 使うほどに味わいが出る素材
企業名・取り組み内容 株式会社SORENA・りんごレザー
住所 長野県長野市鶴賀上千歳町1137-23
電話番号 026-217-1039
URL https://rerigo.jp/

SDGsへの取り組む企業を消費者も応援しよう

SDGsは、ひとりひとりが日常生活の中で意識することが大切ですが、個人でできることにはどうしても限界があります。企業も協力し合いながら、進めていくことで目標達成に近づきます。

日本の企業も積極的に取り組む企業が5割を超えていますが、大企業と中小企業の間ではまだ温度差があるのが現実です。

経済界全体がSDGsを推し進めていこうという体制づくりをはじめていますので、消費者もSDGsに取り組む企業を積極的に応援していきたいところです。

SDGsへの取り組みによって生まれた商品を購入することはもちろん、貧困問題やジェンダー問題に積極的に取り組んでいる企業のサービスを利用するなどして一般消費者が企業を応援することで、17の目標達成に少しでも近づくのではないでしょうか。